2018年8月28日火曜日

第9回 small circle of friends 『波よせて』/ かせきさいだぁ 『じゃっ、夏なんで』

♦︎ small circle of friends 『波よせて』


small circle of friends、昔にfm802が出していたコンピレーションアルバムでその名前は見たことがあったけれど、そういえば曲は全く聴いていなかった。この「波よせて」という曲はクラムボンがカバーをしていて(世間的にはそちらの方が有名)、確かにそれも知ってはいたけれどやはり聴いてはいなかった。
この度某イベントでそのクラムボンバージョンと、次に出てくる「じゃっ、夏なんで」が続けざまにスピンされたのを聴いて大いにヤラれた。クラムボンのカバーバージョンは原田郁子の安定感ある歌声、静かで耳障りの良いラップパート、なんか逆回転とか使っておしゃれにまとまったトラック、と原曲と比較すると確かに聴きやすく、原曲以上にしっくりきてしまうのだが、ちょっとイナたい感じの原曲の方がストーリー性を感じる。ちなみに802のコンピに入っていたのは「Never Never Land」という曲、これはMarcos ValleというブラジルSSWの「Meu Heroi」という曲を下敷きに作られている。他の曲も含め結構トラックが凝っている印象。


こちらは今年再販されていたsmall circle of friendsの原曲の7インチ。名曲。


クラムボンのカバー、ライブバージョン。クラムボンの曲と思うやん。


♦︎ かせきさいだぁ 『じゃっ、夏なんで』


で、前述の「じゃっ、夏なんで」こちらはJ-HIPHOPアーティストかせきさいだぁの96年デビュー作。
今でこそJ-HIPHOPもそれなりに市民権を得ているが、90年代のJ-HIPHOPといえばアンダーグラウンドでハーコー(ハードコアの意)な、'悪そうな奴がだいたい' 聴いてるような代物だった。そんな中スチャダラパーをはじめとするユルめのヒップホップグループが集まってLB Nationというチームを作っていたのだが、かせきさいだぁ(が所属していたTONEPAYS)もその一員。なのでかせきさいだぁの作品は、HIPHOPと言えどJ-POP寄りのユルめなラップの曲が多い。この曲では日本の夏の情景をまるで本を読んでいるかのような'文学的'なラップで表現している。冒頭の「梶井基次郎の『檸檬』の中に出てくるような街の中は」という歌詞はインパクトがあり、気になったので『檸檬』も読んだ(高校の教科書とかで読んでるのかもしれない)。
とにかく百聞は一見にしかず、いや百読は一聴にしかず、夏の終わりにこの曲でチルを。


「シャクシャクと君と一緒に食べるカキ氷」という響きも良い。



2018年8月19日日曜日

第8回 Anderson .Paak 『MALIBU』/ Mariah Carey 『#1's』

♦︎ Anderson .Paak 『MALIBU』


アンダーソンパック、ジャンルとしては HIPHOP?R&B?その辺のライン引きが難しい、いわゆる最近のブラックミュージックだが、このたびバックバンドThe Free Nationalsを従えてフジロック3日目昼のグリーンステージ(一番大きいところ)に登場。前述の通り今年はソフトバンクによるフジロックYoutubeライブ配信のおかげで、涼しい部屋で同志たちとチャットをしながらこのステージを楽しませていただいた。ちなみにそのライブ配信、固定カメラだけではなく何台もカメラを使っており、かつ音もかなり良くて本当素晴らしかった、また来年も期待。アンダーソンパックは元々はドラマーということで、ライブ開始早々からドラムセットに座ってドラムを叩きながら楽しそうに歌っていた。最近はケンドリックやChildish Gambinoに押され気味かなと思っていたけれど今回のライブを観てまた好きになった。このアルバムは2枚目、どの曲も音はブラックながらメロディーラインはキャッチーで、すぐ頭に入るというかノレる。何かいい感じのブラックミュージックが聴きたければケンドリックよりもこちらの方が断然オススメ。



「Put Me Thru」、キャッチーでわかりやすい。このアルバムは全曲オフィシャルからYoutubeで聴けるようになっている模様。


未リリース曲と思われる「Sweet Gidget」のフジロック観客撮影動画。配信で観ていてこの曲がめちゃくちゃ良かった。ドラムがアンダーソンパック、そして山のような男がキーボードを弾いていたのだがスキルフルだった。ボコーダーソロも良い。


♦︎ Mariah Carey 『#1's』


これはかなり多くの人が手に取ったことのあるアルバムではなかろうか。マライアキャリーの1998年時点でのベストアルバム。当時中学生くらいだったので、なんとなく「マライアキャリーは凄い」と思っていたけれど、やはりなんとなくそう思っていただけで、曲をしっかり吟味したのはつい最近になってのこと。C+Cミュージックファクトリーのプロデュースによる「Emotions」「Make it happen」や、Shep Pettibone(マドンナやPET SHOP BOYSを手がけていたそう)による「Someday」といった初期のアッパーチューンは言わずもがな、Tom Tom Clubの「Genius of love」をモロ使いした「Fantasy」や、懐かしの「honey」、いい曲な(なんだそれ)「Always Be My Baby」、Journeyのカバー「Open Arms」などなどと、ベスト盤ではあるものの本当に聴きどころが多すぎる名盤中の名盤。日本盤には「恋人たちのクリスマス」もしっかり収録。このアルバムに関してはここでちょっと書くには書き足らないのでまたいつか追記しよう。ちなみに今はこれ以降の曲も加わった「Greatest HIts」というアルバムがあるのだが、個人的に思い出深いのはやはりこのジャケット。


「Emotions」個人的にはこれがナンバーワン。聴いてテンション上がらない人はいないのでは。


「honey」マライア絶頂期、プロデュースは当時のHIPHOP界のドンPuff Daddy。



「Someday」のMTVアンプラグド。元々はもっとアップテンポな曲だがここではゴスペル風アレンジ、マライア自身はこのバージョンが気に入っているらしい。10月に来日公演あり、行きたし。

2018年8月15日水曜日

第7回 椎名林檎 『逆輸入 ~航空局~』/ 小島麻由美 『My Name Is Blue』

♦︎ 椎名林檎 『逆輸入 ~航空局~』


椎名林檎のセルフカバーアルバム第2弾。気に入ったアーティストにしか楽曲を提供しないのかどうかは知らないが、皆知っているようなメジャー曲は前アルバムに引き続いてあまり見当たらず、ファンでも「そんな曲があったとは」と思うようなものも多い。今回のリストを見ても、石川さゆり、ともさかりえ、栗山千明と、椎名林檎と仲良しなのであろうアーティストの名が並び、初めて聴く曲もちらほら。高畑充希がCMで歌っていた「人生は夢だらけ」と石川さゆりの「名うての泥棒猫」(こちらは石川さゆりバージョンも良い)が特に良かった。松たか子と満島ひかりが歌っていたカルテットの「おとなの掟」は英詞バージョンで収録。残念、日本詞のままで聴きたかった。椎名林檎曰く松たか子と満島ひかりの「おとなの掟」以上のものはないということで日本語では歌わなかったそう、なるほど。その他SMAPの「華麗なる逆襲」を、第1弾「逆輸入 ~港湾曲~」ではTOKIOの「雨傘」やSMAPの「真夏の脱獄者」をカバーしているのだがこれらも英詞、こちらはジャニーズからの要望なのか何なのか。「真夏の脱獄者」は英詞がハマっていていいけど。


「人生は夢だらけ」、オーケストラ入るところ多幸感的。


「名うての泥棒猫」石川さゆりバージョン、椎名林檎はコーラス参加。


前のアルバムから「真夏の脱獄者」。なにやら漂うオシャレ感と椎名林檎にあまりない軽さは大沢伸一が編曲しているせい(であろう)。


♦︎ 小島麻由美 『My Name Is Blue』


小島麻由美4枚目のアルバム、1曲目「甘い恋」とラストの「わいわいわい」に尽きる。


菊地成孔参加の「甘い恋」、このアルバムでも飛び抜けて名曲。


「わいわいわい」、昔ヴィレッジヴァンガードでずっとこの曲流れてた、あの頃のヴィレヴァンのサブカル感。

2018年8月6日月曜日

第6回 Superorganism 『Superorganism』/ モーニング娘。 『ベスト!モーニング娘。1』

♦︎ Superorganism 『Superorganism』


フジロックでもステージ満員御礼だった多国籍バンドSuperorganism。周期的にこういうローファイな、いかにもappleのCMに使われそうな曲を作るグループは出てくるがSuperorganismも御多分に洩れず。でも2017年にデビューですでにGorillazからリミックス頼まれているのは凄い、やはりグループとしてのキャラ立ちって大事なのだろう。ボーっと聴いていても耳障り良くて良作。ボーカルのOronoは日本の中学生ぽいけど、海外在住の日本人(で高校生)。


デビュー曲「Something for your M.I.N.D.」、無名の状況ながらsoundcloudにアップしたこの曲をFrank Oceanが自身のラジオでかけてブレイクしたとのこと、スゴい。


Gorillazのリミックス。海外ではOronoのキャラがウケてるのか。


♦︎ モーニング娘。 『ベスト!モーニング娘。1』


たまたま「サマーナイトタウン」の英語バージョンを聴くことがあり、また久しぶりにモー娘。なんか引っ張り出して聴いてしまった。「Loveマシーン」以前に名曲多し、「サマーナイトタウン」「真夏の光線」「抱いてhold on me!」など。


「サマーナイトタウン」は「大嫌い!大好き!」のやつ。PVに全然金かかってないけどこれでいいんだよなぁ。ゴマキが入る前の「真面目な」モー娘。のが良い。


「抱いてhold on me!」


「真夏の光線」、海やのにみんな服きてしっかり歌っている、上品。見習え今のアイドルたちよ。


最後にココナッツ娘。の英語バージョン「サマーナイトタウン」。一瞬カッコいいかと思ったけどなんかモッチャリしてるし、ときどき日本語なるのやめ。