面影ラッキーホール、現在はOnly Love Hurtsとバンド名を変えて活動しているとのこと。活動25年のベテランでこの作品は20年前にリリースされたデビュー作。全然メジャーではなく、チラっともその名前を聞いたことはなかったのだが、結構前に「好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた」という曲をラジオだか誰かのDJだかで聴いて、すぐにこのアルバムもチェックした。アルバムや曲のタイトルを見てだいたい想像はつくのだが、彼らの曲はどれもドロドロとした人間模様をテーマにしていてなかなかにトンデモない。実際このアルバムも元はソニーからリリースされる予定だったが、歌詞に問題ありということで一度お蔵入りになり、レーベルを変えてリリースされたそう。しかし彼らの曲、歌、歌詞は全て本当に上手くて、そのトンデモない物語がサッと頭に入ってくるのはお見事。
邦楽を聴いていていつも思うのだが、歌詞のあて方とか言葉の選び方の上手い下手はアーティストの力の差が出る大きなポイントだろう。例えば昔の歌手の曲は作詞家の先生が作っているものが多いのだが、阿久悠先生とか松本隆とかの詞を読むと、言葉の選び方が上手で思いもつかない表現をしていたり、やはり上手いなーと思うことが多い。このバンドの曲は全て物語調で、普通のバンドが同じようなことをすると歌詞の内容に重点が置かれてしまってリズムのよさとか語感のよさがおろそかになることが多いと思うのだが、その辺もしっかり保たれていて上手いと思う。まあしかし、いかんせん歌詞のクセが強すぎるので好き嫌いははっきり別れるであろう。個人的には「好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた」「必ず同じところで」「夜のみずたまり」「俺のせいで甲子園の行けなかった」あたりオススメ。あと「金曜日の天使」という近田春夫&ビブラトーンズのカバーも最高なのだがこれについてはまた後日に。
「好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた」サビをそのままタイトルにする潔さ
「俺のせいで甲子園の行けなかった」大合唱不可避
♦︎ SLIDE feat. FRANK OCEAN & MIGOS / CALVIN HARRIS
これは去年のサマーアンセム。「I might (甘い!)」のサビは誰しもがどこかで聴いているはず。CALVIN HARRISはプロデューサーなので、歌っているのはフランクオーシャン、ラップはミーゴス。トラックはシンプルながら頭のピアノとかクラップの音とかキュイキュイのシンセとか一つ一つ必要十分な感じで素晴らしく、ピカソの絵を引き合いに「美」や「価値」に言及した(と推測される)フランクオーシャンの歌詞も本当に素晴らしい。ジャケットをはじめとするビジュアルイメージ(これはアルバムを通してのものだが)も素晴らしい。とにかく素晴らしさしかない一曲。
今年の夏の締めに。
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