2018年10月21日日曜日

第13回 Original Soundtrack 『THE VIRGIN SUICIDES』

♦︎ THE VIRGIN SUICIDES / Original Soundtrack


ソフィア・コッポラ監督の映画「ヴァージン・スーサイズ」のサントラ。フランスのエレクトロユニットAirが手がけた別のサントラもあるが、こちらは映画で使われた挿入歌を集めたコンピレーション的な作品。「隙のないアルバムを選べ」と言われたら(別に言われないが)このアルバムを選ぶ、最初から終わりまでずっと聴いていたいと思わせる素晴らしい作品。

まずTodd Rundgrenの「Hello it's me」、1972年の作品。このサントラで初めてTodd Rundgrenを知った。「I saw the light」と並んでPOPSの教科書的。

Sloanの「Everything You've Done Wrong」、1996年の作品。調べるとカナダの国民的バンドらしい、これも70年代の曲かと思っていた。

Al Green、1972年の作品、これは溶ける…

Gilbert O'sullivan、これも1972年の作品。王道中の王道。

10ccの「I'm not in love」、これは1975年。バラードとしても最高ながら曲としても本当にカッコイイ、「big boys, don't cry …」と囁きが入るとこが最高にカッコイイ。レコーディングの時にそこにいた受付の女性に囁いてもらったそう。

とこのようにAirの曲とsloan以外は70年代の曲を軸に、一曲一曲も素晴らしく、全体の流れも完璧なサウンドトラックとなっている。これは人生で一度は聴くべき一枚。
とここまで言っておきながら実は映画は観たことないという…でもサントラ聴いてるだけで映画観たような気になるしそういうのもいいでしょう。

今回はこのアルバムの曲を聴いていたら時間がなくなってきたので一枚でおわり。


2018年10月13日土曜日

第12回 Soil & Pimp Sessions 『comrade feat. 三浦大知』/ 近田春夫 & ビブラトーンズ 『金曜日の天使』

♦︎ comrade feat. 三浦大知 / Soil & "Pimp" Sessions


Soil & "Pimp" Sessions、自らDEATH JAZZと称するアッパーなJAZZインストグループ。2016年にメンバーの1人が脱退してからちょっと方向変換をしているらしく、最新のアルバムはボーカリストを多数招いて半分くらいが歌モノ。これが結構つぶ揃いで良盤。その中でも三浦大知をフューチャーしたこの曲を。

「comrade」は「仲間」という意だそう。

こちらもアルバムの一曲。


♦︎ 金曜日の天使 / 近田春夫 & ビブラトーンズ


前回書いた面影ラッキーホールがカバーしていたこの曲は近田春夫が率いる近田春夫 & ビブラトーンズ1981年の作品。「終電がなくなって始発までクラブで過ごすしかない」的な内容で、今ならそういう曲も数多あるだろうが、この曲の良さは1980年にそういう曲を歌っていて、かつ歌詞がとても1980年代くさい(クラブではなくディスコティックだったり)ことと、「終電車だって終わっちまっただ / もう始発を待つしかないだ」というサビの「大なまり」である。この「だ」がなかったら普通に聴き流していた、このなまりのせいで漂う切なさは3倍増し。

このガサガサのライブ映像も80年代感あって良い。

最近ではパスピエがカバーしていた。

2018年9月16日日曜日

第11回 面影ラッキーホール 『代理母』/ CALVIN HARRIS 『SLIDE feat. FRANK OCEAN & MIGOS』

♦︎ 代理母 / 面影ラッキーホール


面影ラッキーホール、現在はOnly Love Hurtsとバンド名を変えて活動しているとのこと。活動25年のベテランでこの作品は20年前にリリースされたデビュー作。全然メジャーではなく、チラっともその名前を聞いたことはなかったのだが、結構前に「好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた」という曲をラジオだか誰かのDJだかで聴いて、すぐにこのアルバムもチェックした。アルバムや曲のタイトルを見てだいたい想像はつくのだが、彼らの曲はどれもドロドロとした人間模様をテーマにしていてなかなかにトンデモない。実際このアルバムも元はソニーからリリースされる予定だったが、歌詞に問題ありということで一度お蔵入りになり、レーベルを変えてリリースされたそう。しかし彼らの曲、歌、歌詞は全て本当に上手くて、そのトンデモない物語がサッと頭に入ってくるのはお見事。
邦楽を聴いていていつも思うのだが、歌詞のあて方とか言葉の選び方の上手い下手はアーティストの力の差が出る大きなポイントだろう。例えば昔の歌手の曲は作詞家の先生が作っているものが多いのだが、阿久悠先生とか松本隆とかの詞を読むと、言葉の選び方が上手で思いもつかない表現をしていたり、やはり上手いなーと思うことが多い。このバンドの曲は全て物語調で、普通のバンドが同じようなことをすると歌詞の内容に重点が置かれてしまってリズムのよさとか語感のよさがおろそかになることが多いと思うのだが、その辺もしっかり保たれていて上手いと思う。まあしかし、いかんせん歌詞のクセが強すぎるので好き嫌いははっきり別れるであろう。個人的には「好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた」「必ず同じところで」「夜のみずたまり」「俺のせいで甲子園の行けなかった」あたりオススメ。あと「金曜日の天使」という近田春夫&ビブラトーンズのカバーも最高なのだがこれについてはまた後日に。


「好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた」サビをそのままタイトルにする潔さ


「俺のせいで甲子園の行けなかった」大合唱不可避


♦︎ SLIDE feat. FRANK OCEAN & MIGOS / CALVIN HARRIS


これは去年のサマーアンセム。「I might (甘い!)」のサビは誰しもがどこかで聴いているはず。CALVIN HARRISはプロデューサーなので、歌っているのはフランクオーシャン、ラップはミーゴス。トラックはシンプルながら頭のピアノとかクラップの音とかキュイキュイのシンセとか一つ一つ必要十分な感じで素晴らしく、ピカソの絵を引き合いに「美」や「価値」に言及した(と推測される)フランクオーシャンの歌詞も本当に素晴らしい。ジャケットをはじめとするビジュアルイメージ(これはアルバムを通してのものだが)も素晴らしい。とにかく素晴らしさしかない一曲。


今年の夏の締めに。





2018年9月9日日曜日

第10回 noname 『Telefone』/ L↔︎R 『Singes & More vol.2』

♦︎ Telefone / noname


nonameはシカゴの女性アーティスト。ジャンルは…R&Bとヒップホップとソウルと、はっきり区別ができないいつもお馴染みの流行りの感じのアレ。今年はサマソニにも出演したシカゴのHIPHOPアーティスト、チャンス・ザ・ラッパーの作品にも数多く参加していて以前より活躍していたが、これが彼女のデビュー作。ラップをしてはいるが、いわゆるラッパーという雰囲気ではなく、ポエトリーリーディング的にも捉えられているよう。チャンスしかり、シカゴ発のHIPHOPは明るく上品なものが多いので好き。ジャケットもインパクトあって良い。


「yesterday」、このアルバム(正確にはミックステープとしてリリース)の1曲目。1曲目から穏やかに眠りにつけそうなこの耳障りの良さ。


Tiny Desk Concertも出ている。ライブも素晴らしい。


♦︎ Singles & More vol.2 / L↔︎R


90年代に音楽を聴いていた人にはお馴染みであろうL↔︎Rの、2枚目のベストアルバム。「Singles & More」ももちろんリリースされているが、当時よく聴いていた曲は皆こっちに入っているのでこちらを。皆知っている曲といえば「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」「HELLO, IT'S ME」あたりで、聴くと本当に懐かしい。個人的には(おそらく)過渡期を過ぎたあたりの「NICE TO MEET YOU」「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」「STAND」あたりが好き。


L↔︎Rと言えば「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」


ポッキー四姉妹物語!


「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」、8cmシングルを買って大切にしていた思い出。かっこいい。

2018年8月28日火曜日

第9回 small circle of friends 『波よせて』/ かせきさいだぁ 『じゃっ、夏なんで』

♦︎ small circle of friends 『波よせて』


small circle of friends、昔にfm802が出していたコンピレーションアルバムでその名前は見たことがあったけれど、そういえば曲は全く聴いていなかった。この「波よせて」という曲はクラムボンがカバーをしていて(世間的にはそちらの方が有名)、確かにそれも知ってはいたけれどやはり聴いてはいなかった。
この度某イベントでそのクラムボンバージョンと、次に出てくる「じゃっ、夏なんで」が続けざまにスピンされたのを聴いて大いにヤラれた。クラムボンのカバーバージョンは原田郁子の安定感ある歌声、静かで耳障りの良いラップパート、なんか逆回転とか使っておしゃれにまとまったトラック、と原曲と比較すると確かに聴きやすく、原曲以上にしっくりきてしまうのだが、ちょっとイナたい感じの原曲の方がストーリー性を感じる。ちなみに802のコンピに入っていたのは「Never Never Land」という曲、これはMarcos ValleというブラジルSSWの「Meu Heroi」という曲を下敷きに作られている。他の曲も含め結構トラックが凝っている印象。


こちらは今年再販されていたsmall circle of friendsの原曲の7インチ。名曲。


クラムボンのカバー、ライブバージョン。クラムボンの曲と思うやん。


♦︎ かせきさいだぁ 『じゃっ、夏なんで』


で、前述の「じゃっ、夏なんで」こちらはJ-HIPHOPアーティストかせきさいだぁの96年デビュー作。
今でこそJ-HIPHOPもそれなりに市民権を得ているが、90年代のJ-HIPHOPといえばアンダーグラウンドでハーコー(ハードコアの意)な、'悪そうな奴がだいたい' 聴いてるような代物だった。そんな中スチャダラパーをはじめとするユルめのヒップホップグループが集まってLB Nationというチームを作っていたのだが、かせきさいだぁ(が所属していたTONEPAYS)もその一員。なのでかせきさいだぁの作品は、HIPHOPと言えどJ-POP寄りのユルめなラップの曲が多い。この曲では日本の夏の情景をまるで本を読んでいるかのような'文学的'なラップで表現している。冒頭の「梶井基次郎の『檸檬』の中に出てくるような街の中は」という歌詞はインパクトがあり、気になったので『檸檬』も読んだ(高校の教科書とかで読んでるのかもしれない)。
とにかく百聞は一見にしかず、いや百読は一聴にしかず、夏の終わりにこの曲でチルを。


「シャクシャクと君と一緒に食べるカキ氷」という響きも良い。



2018年8月19日日曜日

第8回 Anderson .Paak 『MALIBU』/ Mariah Carey 『#1's』

♦︎ Anderson .Paak 『MALIBU』


アンダーソンパック、ジャンルとしては HIPHOP?R&B?その辺のライン引きが難しい、いわゆる最近のブラックミュージックだが、このたびバックバンドThe Free Nationalsを従えてフジロック3日目昼のグリーンステージ(一番大きいところ)に登場。前述の通り今年はソフトバンクによるフジロックYoutubeライブ配信のおかげで、涼しい部屋で同志たちとチャットをしながらこのステージを楽しませていただいた。ちなみにそのライブ配信、固定カメラだけではなく何台もカメラを使っており、かつ音もかなり良くて本当素晴らしかった、また来年も期待。アンダーソンパックは元々はドラマーということで、ライブ開始早々からドラムセットに座ってドラムを叩きながら楽しそうに歌っていた。最近はケンドリックやChildish Gambinoに押され気味かなと思っていたけれど今回のライブを観てまた好きになった。このアルバムは2枚目、どの曲も音はブラックながらメロディーラインはキャッチーで、すぐ頭に入るというかノレる。何かいい感じのブラックミュージックが聴きたければケンドリックよりもこちらの方が断然オススメ。



「Put Me Thru」、キャッチーでわかりやすい。このアルバムは全曲オフィシャルからYoutubeで聴けるようになっている模様。


未リリース曲と思われる「Sweet Gidget」のフジロック観客撮影動画。配信で観ていてこの曲がめちゃくちゃ良かった。ドラムがアンダーソンパック、そして山のような男がキーボードを弾いていたのだがスキルフルだった。ボコーダーソロも良い。


♦︎ Mariah Carey 『#1's』


これはかなり多くの人が手に取ったことのあるアルバムではなかろうか。マライアキャリーの1998年時点でのベストアルバム。当時中学生くらいだったので、なんとなく「マライアキャリーは凄い」と思っていたけれど、やはりなんとなくそう思っていただけで、曲をしっかり吟味したのはつい最近になってのこと。C+Cミュージックファクトリーのプロデュースによる「Emotions」「Make it happen」や、Shep Pettibone(マドンナやPET SHOP BOYSを手がけていたそう)による「Someday」といった初期のアッパーチューンは言わずもがな、Tom Tom Clubの「Genius of love」をモロ使いした「Fantasy」や、懐かしの「honey」、いい曲な(なんだそれ)「Always Be My Baby」、Journeyのカバー「Open Arms」などなどと、ベスト盤ではあるものの本当に聴きどころが多すぎる名盤中の名盤。日本盤には「恋人たちのクリスマス」もしっかり収録。このアルバムに関してはここでちょっと書くには書き足らないのでまたいつか追記しよう。ちなみに今はこれ以降の曲も加わった「Greatest HIts」というアルバムがあるのだが、個人的に思い出深いのはやはりこのジャケット。


「Emotions」個人的にはこれがナンバーワン。聴いてテンション上がらない人はいないのでは。


「honey」マライア絶頂期、プロデュースは当時のHIPHOP界のドンPuff Daddy。



「Someday」のMTVアンプラグド。元々はもっとアップテンポな曲だがここではゴスペル風アレンジ、マライア自身はこのバージョンが気に入っているらしい。10月に来日公演あり、行きたし。

2018年8月15日水曜日

第7回 椎名林檎 『逆輸入 ~航空局~』/ 小島麻由美 『My Name Is Blue』

♦︎ 椎名林檎 『逆輸入 ~航空局~』


椎名林檎のセルフカバーアルバム第2弾。気に入ったアーティストにしか楽曲を提供しないのかどうかは知らないが、皆知っているようなメジャー曲は前アルバムに引き続いてあまり見当たらず、ファンでも「そんな曲があったとは」と思うようなものも多い。今回のリストを見ても、石川さゆり、ともさかりえ、栗山千明と、椎名林檎と仲良しなのであろうアーティストの名が並び、初めて聴く曲もちらほら。高畑充希がCMで歌っていた「人生は夢だらけ」と石川さゆりの「名うての泥棒猫」(こちらは石川さゆりバージョンも良い)が特に良かった。松たか子と満島ひかりが歌っていたカルテットの「おとなの掟」は英詞バージョンで収録。残念、日本詞のままで聴きたかった。椎名林檎曰く松たか子と満島ひかりの「おとなの掟」以上のものはないということで日本語では歌わなかったそう、なるほど。その他SMAPの「華麗なる逆襲」を、第1弾「逆輸入 ~港湾曲~」ではTOKIOの「雨傘」やSMAPの「真夏の脱獄者」をカバーしているのだがこれらも英詞、こちらはジャニーズからの要望なのか何なのか。「真夏の脱獄者」は英詞がハマっていていいけど。


「人生は夢だらけ」、オーケストラ入るところ多幸感的。


「名うての泥棒猫」石川さゆりバージョン、椎名林檎はコーラス参加。


前のアルバムから「真夏の脱獄者」。なにやら漂うオシャレ感と椎名林檎にあまりない軽さは大沢伸一が編曲しているせい(であろう)。


♦︎ 小島麻由美 『My Name Is Blue』


小島麻由美4枚目のアルバム、1曲目「甘い恋」とラストの「わいわいわい」に尽きる。


菊地成孔参加の「甘い恋」、このアルバムでも飛び抜けて名曲。


「わいわいわい」、昔ヴィレッジヴァンガードでずっとこの曲流れてた、あの頃のヴィレヴァンのサブカル感。